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事業概要
東ユーラシア研究
みんぱく拠点テーマ
「宗教とサブカルチャー」
みんぱく拠点では、東ユーラシアの人々が、宗教やサブカルチャーを通じていかなる幸福感と文化衝突が生じているのかを明らかにする。本拠点が今、力を入れているのは、ヒップホップ(特にラップ・ミュージック)だ。「辺境ヒップホップ研究会」を立ち上げ、国際比較研究に取り組んでいる。
人間文化研究機構によるネットワーク型基幹研究プロジェクト「グローバル地域研究推進事業」4つの地域研究プロジェクト(グローバル地中海地域研究、環インド洋地域研究、海域アジア・オセアニア研究、東ユーラシア研究)のひとつ「東ユーラシア研究」は、東北大学拠点(中心拠点)、北海道大学拠点、神戸大学拠点、国立民族学博物館拠点から構成されている。
「東ユーラシア研究」の目的は「東ユーラシアの文化衝突とウェルビーイング」の解明にある。モンゴル、シベリア、中央アジア、そしてロシアや東欧を含む「東ユーラシア」の国々や地域は、かつてソヴィエト連邦を中心とした社会主義圏に属していた。また、中国も政治体制としては社会主義体制を維持している。東ユーラシア研究の民博拠点では、これらの地域の「宗教とサブカルチャー」をテーマに研究を進めていく。
具体的にいうと、宗教やサブカルチャーが、政治経済秩序とは異なる局面でグローバルな関係性の中でどのようにして人々の希望を作り出しているかという点に焦点を当てている。とりわけ旧社会主義圏においては、圏外に拠点のある制度宗教(イスラーム、チベット仏教、カトリック、福音派など)、旧西側由来のニューエイジ思想やサブカルチャーといった「グローバルな文化」との接続が1990年代以降であったという点が特徴的である。
また中国も改革開放以降に外来の宗教や文化と接続した点において旧ソ連地域とほぼ共通している。こうしたポスト社会主義圏を中心とした東ユーラシアにおけるグローバル化のタイムラグを背景に、当該地域の人々によって新たに生み出された文化が、いかに幸福を創り出し/文化衝突を生み出しているのかを明らかにする。さらに、比較のために旧ソ連圏と中国以外の地域の事例も参照する。
東ユーラシアはまた、「正教」「イスラーム」「チベット仏教」の三地帯および民間宗教の接合域として理解することができる。そこで、諸宗教が邂逅する場としての東ユーラシアで起こる文化衝突やウェルビーイングのあり方についても調査・議論していく。その際、当該地域がかつては旧社会主義圏であったという特質を踏まえながら、社会主義時代との連続性と非連続性を意識した上で議論を展開していきたい。