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講演「国内政治と否認されたシャーマンの精霊の帰還――ロシアと中国からの考察」

2024.11.16

講演「国内政治と否認されたシャーマンの精霊の帰還――ロシアと中国からの考察」

State Politics and the Return of Disowned Shamanic Spirits: reflections from Russia and China

コンスタンティノス・ゾルバス (山東大学准教授/東北大学客員研究員)

Konstantinos Zorbas

【日時】2024年12月4日:15:00~17:00

【場所】第2演習室

【講演言語】英語(通訳なし)

【参加方法】無料 ※みんぱく館外からお越しの方は、お手数ですが、royterek@minpaku.ac.jp(赤尾)/090-6068-8803までご一報ください。

【講演概要】 本講演では、多種多様な不安や予測不可能な形態を通して、シャーマニズムの可視性が強まっていることを記録した民族誌資料を批判的に探求する。シベリアやモンゴルの先住民における社会主義以降の政治的変遷に関する研究は、呪いの交換や(オカルト的な含意のある)危険な言説の永続化におけるシャーマニズム儀式の中心性を強調してきた。さらに、モンゴルのシャーマニズムに関する最近の研究では、「シャーマンのパンデミック」と形容される活性化されたカルトやイニシエーション儀式の急増が、親族間の忠誠や系譜のつながりを覆し、家族的・共同体的・祖先的な絆を分断していることが明らかにされている。 本講演では、「シャーマンの増殖現象」を前景化する主要な研究(島村一平「ルーツを求める人々」2014年および2017年)や、隣接する民族(ロシアのトゥバや中国の内モン ゴル)との顕著な類似性を記録した研究をもとに、シャーマニズムの「再活性化」とその予期せぬ社会政治的意味合いについて新たな考察を展開する。こうした議論の中心は、シャーマニズムとチベット仏教の複雑な相互作用であり、それは「呪いの風景」における宗教的(シャーマニズムと仏教的)介入に関する先住民の回想を通して展開される。これらのエスノグラフィーの資料は、ロシアのトゥヴァ/ティヴァ共和国(南シベリア)における先住民の村の住民を巻き込んだ、呪いと幽霊の捕食のスパイラルを抑えるための競争に巻き込まれたスピリチュアルな専門家たちによって、どのように競合する呪術的治療法が発明されたかを示す 本講演では、中国東北部吉林省の博物館に収蔵されている満州文化の展示品のうち、女性のシャーマンの神々が描かれたお守りや絵画の残像に関する最近のフィールドデータを踏まえながら、「シャーマニズムと政体」の論争というテーマについてさらに詳しく解説する。

【講演者プロフィール】

コンスタンティノス・ゾルバス(Konstantinos Zorbas)

山東大学人類学准教授/東北大学客員研究員。シャーマニズムと先住民宗教を研究する人類学者。主要な研究テーマは、シベリアのティヴァ共和国におけるシャーマニズムによる癒しの儀式。現在は、満州の博物館における儀式用遺物についても研究している。

【主催】東ユーラシア研究みんぱく拠点

【問い合わせ】royterek@minpaku.ac.jp(赤尾)