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『辺境のラッパーたち――立ち上がる「声の民族誌」(島村一平(編)、青土社)

https://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3935

ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。

戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声がここに。ダースレイダー、HUNGER(GAGLE)のインタビューも収録。

[目次]

はじめに 辺境ヒップホップ論――結びつく周縁から辺境のノイズへ / 島村一平

第1部 非常事態下のラッパーたち

パレスチナ

パレスチナ・ガザに響くラップ / 山本薫

ウクライナ

抵抗歌としてのウクライナ民謡とヒップホップ――マイダン革命から対ロシア戦争へ / 赤尾光春

ロシア

「亡命」するラッパーたち――二〇二〇年代の「文学裁判」とウクライナ戦争 / 中野幸男

チベット 土地・記憶・言語を行き来するラップ――チベッタン・ディアスポラのヒップホップ / 佐藤剛裕


第2部 言論統制下のラッパーたち

中国

模索される「中国の特色あるヒップホップ」 / 奈良雅史

イラン

内在的社会批判のアポリア――イラン・ペルシア語ラップの軌跡 / 谷憲一

キューバ

キューバのヒップホップ――アフロキューバ・ラップからトランスボーダー・ラップへ / 安保寛尚


Interlude

Back in the 1997 to 99――極私的ヒップホップ・メモワール / ダースレイダー


第3部 主張するマイノリティ

タタールスタン

祖なるビートに呼応せよ!――グローバル化時代のタタール・ヒップホップとしたたかな抵抗 / 櫻間瑞希

サハ

極北の国サハの口琴とラップ / 石原三静 a.k.a.ヌマバラ山ポール

アラスカ 抵抗とケア――アラスカのネイティブ・ラッパーAKレベル / 野口泰弥


第4部 伝統文化をラップの武器に

ポーランド

先駆者ラッパーと振り返るポーランド・ヒップホップ / 平井ナタリア恵美

モンゴル

共起するナショナリズムと社会批判――モンゴル・ラッパーたちの二重意識 / 島村一平

インド

成り上がり・フロム・ガリー――How To Be BIG in India / 軽刈田 凡平


Interlude

「外」から「内」へ――町と、日本と出会いなおす旅 / HUNGER(GAGLE) 聞き手=矢野原佑史


第5部 混淆する文化の中で

インドネシア

リッチ・ブライアンを超えろ / 金悠進

ブラジル

辺境どころかヒップホップ超大国のブラジル / 中原仁

プエルトリコ

抵抗と絡み合うルーツ――「最古の植民地」プエルトリコ / 村本茜


おわりに / 島村一平