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辺境ヒップホップ研究会(第二回)
日時:2022年9月17日(土)・18日(日)
2023.06.28
会場:国立民族学博物館 第二演習室
①「ポーランドのヒップホップ」
平井ナタリア恵美(フリーライター)
ショパンの出身地として有名なポーランドですが、ショパンの時代から約200年後にはヒップホップ大国になりました!90年代に旧共産主義国からの民主化が及ぼした影響や、詩を愛する国民性に育まれて進化し、今では年間総合チャートも制するほどの人気となったポーランド・ヒップホップ。今回の発表では、その歴史や特徴をかいつまんで解説し、特筆すべきアーティストをベテランから若手まで約10~15組ほど歌詞をピックアップしながら紹介します。
②「タタール・ヒップホップは何を訴えてきたか――タタール・ラッパーの叫びから見るロシアの社会問題とタタールの民族問題」
櫻間瑞希(学振)
2000年代にタタールの音楽シーンにもヒップホップが流入すると、保守的なタタール歌謡界からの批判を受けながらも、格差や不平等、貧困、孤独や自殺問題など、多くの現実的な諸問題が取り上げられてきた。ところが、2010年代後半になると徐々に政治批判につながる楽曲は減少し、他方で民族や民族語の問題を取り上げた楽曲が増えていった。タタール・ヒップホップはどのような背景から、何を歌ってきたのか。そして、現代ロシアの国内マイノリティ民族はどのような問題に直面してきたのか、タタール・ヒップホップの事例から考察する。
③「シーンをつくる――インドネシア・ヒップホップの世代交代と構造変容」
金悠進(国立民族学博物館)
インドネシアにおいてヒップホップが定着し始めたのは1990年代である。しかし、当時のラップ・ミュージックは、首都ジャカルタ中心のエンタメ産業だった。1998年民主化を境に、アンダーグラウンドなラップ実践が地方でも現れる。2016年はリッチ・ブライアンのような華々しいグローバル・スターの登場の影で、新世代ラッパーたちがローカルなシーンをつくりあげていた。本報告では、90年代(第一世代)から現在(第三世代)までのインドネシア・ヒップホップ史を紐解く。
④「カメルーンのヒップホップ概要」
矢野原佑史(京都大学)
発表者は2005年より、中西部アフリカに位置するカメルーン共和国で、現地においてヒップホップを実践する若者たちとともにこの文化事象に関するフィールドワークを行なってきた。本発表では、フィールドワーク・データを元に、カメルーンにおけるヒップホップの歴史とその概要について、またアフリカ文化とヒップホップの接続性について説明する。そこから、ヒップホップが世界中のポピュラー・ミュージック/ポピュラー・カルチャーに影響を与えるに至った要因について、研究会参加者らとともに考えてみたい。
ゲストコメンテーター:
ハンガー(GAGLE)
SATUSSY(韻踏合組合)
やなぎみわ(現代美術家)
ヌマバラ山ポール(ラッパー、尺八演奏家)